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隣地境界と庭・外構工事|民法が定める50センチの距離と目隠しの義務

庭や外構の工事では、どこまで隣地に寄せられるかが計画の前提になります。この点について民法は数値のルールを2つ持っています。ただし条文には、それと異なる慣習があればそちらに従うという規定も置かれています。

最終更新日:2026-09-30

本ページの見方

  • 引用している条文は、e-Gov法令検索で公開されている現行の条文をそのまま転記したものです。読みやすさを考慮して省略した箇所は「(中略)」と表記しています。
  • 条文に定められている事項と、個別の敷地・計画についての判断は異なります。当サイトは個別の案件について適法・違法の判定を行っていません。
  • 自治体や道路管理者ごとに異なる手続きの様式・手数料・処理期間は、本ページには記載していません(条文に定められている数値のみを扱っています)。

根拠となる条文

民法 第234条(境界線付近の建築の制限)
建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。2 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
出典:e-Gov法令検索(民法)
民法 第235条
境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。2 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
出典:e-Gov法令検索(民法)
民法 第236条(境界線付近の建築に関する慣習)
前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
出典:e-Gov法令検索(民法)

民法が定める2つの数値

出典:民法 第234条・第235条(e-Gov法令検索)。いずれも第236条により、異なる慣習があるときはその慣習に従うとされています。

条文数値内容
第234条第1項50センチメートル以上建物を築造するには、境界線からこの距離を保たなければならない
第235条第1項1メートル未満この距離において他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならない

第234条が対象にしているのは「建物」

第234条第1項の文言は「建物を築造するには」です。塀やフェンス、ウッドデッキ、置き型の物置がここでいう「建物」に当たるかどうかは、条文の文言だけでは決まりません。個別の事案で判断されてきた領域です。一方で建築基準法は、屋根と柱もしくは壁を持つ工作物とそれに附属する門・塀を「建築物」としており、民法の「建物」とは言葉の範囲が一致しません。2つの法律で用語の意味が違う点は、外構の計画で混乱しやすいところです。

第234条第2項には期間の区切りがある

第234条第2項は、違反して建築しようとする者があるときは隣地の所有者が建築の中止または変更を求められるとしたうえで、ただし書きで「建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる」と定めています。完成後は中止・変更を求められず、請求できるのは損害賠償に限られるという構造です。工事の計画を隣地の方に事前に伝える意味は、この条文からも読み取れます。

第235条の測り方は条文に書かれている

目隠し義務の距離について、第235条第2項は「窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する」と、測り方まで定めています。窓の中心や建物の壁面からではありません。ウッドデッキにフェンスや手すりを立てる計画、2階にバルコニーを増やす計画では、この測り方で1メートル未満になるかどうかが分かれ目になります。第1項のかっこ書きが「ベランダを含む」と明記している点も確認しておきたいところです。

起点

窓または縁側の、最も隣地に近い点。

測り方

その点から垂直線によって境界線に至るまで。

対象

他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダを含む)。

第236条により、慣習が優先する場合がある

第236条は「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」とだけ定めています。つまり第234条・第235条は、その土地に異なる慣習があればそちらに譲ります。慣習があるかどうか、あるとしてどういう内容かは地域ごとの事情であり、本ページでは扱えません。

本ページで判定できない事項

境界線がどこにあるかそのものは、民法の条文では決まりません。確定していない場合は、登記や測量、隣地の方との立会いによる確認が必要になります。また、個別の工作物が第234条の「建物」に当たるか、既存の状態が違反に当たるかの判断も行っていません。争いになっている場合は、弁護士や自治体の法律相談窓口へご相談ください。

隣地に近い場所で工事するときに確認すべき事項

  • 1境界標の位置を現地で確認し、境界が確定しているかどうかを把握する
  • 2計画している構造物と境界線との距離を、図面上の数値で確認する
  • 3窓・縁側・ベランダを新設または移設する計画がある場合、最も隣地に近い点から境界線までの距離を測る
  • 41メートル未満になる場合、目隠しをどう設けるかを設計に含める
  • 5工事の内容と日程を、着工前に隣地の方へ伝える
  • 6境界が確定していない場合は、工事の前に測量・立会いによる確認を検討する

関連する工事の解説

よくある質問

Q建物は境界線からどれだけ離す必要がありますか。▼
A民法第234条第1項は、建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならないと定めています。ただし第236条により、これと異なる慣習があるときはその慣習に従うとされています。
Q目隠しを付ける義務が生じるのはどういう場合ですか。▼
A民法第235条第1項は、境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならないと定めています。距離は同条第2項により、窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定します。
Qフェンスや物置も50センチ離す必要がありますか。▼
A第234条第1項の文言は「建物を築造するには」です。フェンスや物置がここでいう「建物」に当たるかどうかは条文の文言だけでは決まらず、個別の判断になります。当サイトでは個別の判定を行っていません。

出典

条文は2026-09-30時点でe-Gov法令検索に掲載されていた内容を確認して転記しています。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前には最新の条文と、所管する窓口の案内をご確認ください。

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