カーポートの雨水やコンクリートの排水は隣に流してよいか|民法214条・218条・220条
カーポートやテラス屋根を付ける、庭をコンクリートで舗装するといった工事では、これまで地面にしみ込んでいた雨水の行き先が変わります。隣地との間で問題になりやすいのが、この水の流れです。民法には、雨水や排水について隣地との関係を定めた条文がいくつかあります。条文を引用して、何が書かれているかを整理しています。
最終更新日:2026-10-12
本ページの見方
- 引用している条文は、e-Gov法令検索で公開されている現行の条文をそのまま転記したものです。読みやすさを考慮して省略した箇所は「(中略)」と表記しています。
- 条文に定められている事項と、個別の敷地・計画についての判断は異なります。当サイトは個別の案件について適法・違法の判定を行っていません。
- 自治体や道路管理者ごとに異なる手続きの様式・手数料・処理期間は、本ページには記載していません(条文に定められている数値のみを扱っています)。
根拠となる条文
土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。出典:e-Gov法令検索(民法)
土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。出典:e-Gov法令検索(民法)
高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。出典:e-Gov法令検索(民法)
土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる。2 前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。出典:e-Gov法令検索(民法)
他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。出典:e-Gov法令検索(民法)
雨水・排水に関する民法の規定
出典:民法 第214条・第216条・第218条・第220条・第221条(e-Gov法令検索)。「内容」欄は条文の文言を要約したものです。
| 条文 | 定めていること | 外構工事で関係する場面 |
|---|---|---|
| 第218条 | 直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない | カーポート・テラス屋根・物置の屋根の向き、雨樋の排水先 |
| 第214条 | 隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない | 高い側の隣地との境界に塀や盛土を設ける計画 |
| 第220条 | 高地の所有者は、浸水を乾かすため等に、公の水流又は下水道に至るまで低地に水を通過させることができる(損害が最も少ない場所・方法で) | 高低差のある敷地で排水経路を確保する場面 |
| 第221条 | 高地・低地の所有者が設けた工作物を、水を通すために使用できる。使用者は利益の割合に応じて費用を分担 | 既存の排水溝・排水管を共用する場面 |
| 第216条 | 他の土地の貯水・排水・引水の工作物の破壊・閉塞で損害が及ぶおそれがあるとき、修繕・障害除去・予防工事をさせることができる | 隣地側の排水設備の詰まりや破損で自分の敷地に水が来る場面 |
第218条は「直接に雨水を隣地に注ぐ構造」を禁じている
第218条が禁じているのは「直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物」を設けることです。条文は「屋根その他の工作物」と書いており、建物の屋根に限っていません。カーポートやテラス屋根、物置のように屋根を持つものを境界の近くに設ける場合、屋根の傾きがどちらに向くのか、雨樋の水をどこへ流すのかは、この条文の観点から確認しておきたい点です。配置図だけでなく、屋根の勾配の向きと雨樋の位置が分かる図面で確認できると確実です。
高い側から自然に流れてくる水は、せき止めてはならない
第214条は、隣地から水が「自然に」流れて来るのを妨げてはならないと定めています。隣地のほうが高い場合、境界に塀を立てる、盛土をして敷地を上げるといった工事で、もともと流れてきていた水をせき止める形になると、この条文との関係が問題になり得ます。逆に、自分の敷地を舗装して水が流れやすくなった結果、隣地へ流れ込むようになった場合は「自然に」流れているとは言いにくく、第214条の想定とは異なる状況です。
土間コンクリートは「水勾配の向き」と「排水先」をセットで見る
駐車場やアプローチをコンクリートで舗装すると、雨水は地面にしみ込まずに表面を流れます。どの方向に勾配をつけ、最終的にどこへ流すのか(道路側の側溝、敷地内の排水桝など)が決まっていないと、意図せず隣地側へ水が向かうことがあります。条文が直接「勾配」を定めているわけではありませんが、上の第214条・第218条の趣旨と照らして、計画図で水の行き先を確認しておくことが実務上の備えになります。
勾配の向き
舗装面の水がどちらへ流れるか。隣地側に向いていないか。
排水先
道路側溝、敷地内の排水桝、浸透施設など、どこで受けるか。
雨樋の接続
カーポート・テラス屋根の雨樋をどこにつなぐか。
本ページで判定できない事項
個別の計画が第218条の「直接に雨水を隣地に注ぐ構造」に当たるかどうか、既存の排水をめぐって隣地とどう分担するかは、敷地の高低差や設備の状況によって判断が変わるため、当サイトでは判定していません。道路側溝への接続や下水道への排水については、自治体や道路管理者が別に基準や手続きを定めている場合があるため、所管の窓口でご確認ください。
屋根付きの設備や舗装を計画するときに確認すべき事項
- 1カーポート・テラス屋根の屋根勾配が、どちら向きになるかを図面で確認する
- 2雨樋の排水をどこにつなぐか(排水桝・側溝など)を見積書・図面で確認する
- 3土間コンクリートの水勾配の向きと、最終的な排水先を確認する
- 4隣地のほうが高い場合、境界の塀や盛土で水の流れをせき止める形にならないか確認する
- 5道路側溝への接続が必要な場合、道路管理者への手続きが要るかを業者に確認する
- 6既存の排水溝・排水管を隣家と共用している場合は、工事で影響が出ないかを確認する
関連する工事の解説
よくある質問
Qカーポートの屋根の雨水が隣の敷地に落ちるのは問題ですか。▼
Q隣の高い土地から雨水が流れてきます。塀で止めてもよいですか。▼
Q低い側の土地に水を流すことは認められていますか。▼
出典
条文は2026-10-12時点でe-Gov法令検索に掲載されていた内容を確認して転記しています。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前には最新の条文と、所管する窓口の案内をご確認ください。