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塀やフェンスの工事で隣の土地に入れるか|民法209条の隣地使用と通知の手順

境界ぎりぎりに塀やフェンスを立てる工事では、作業員や足場が隣の敷地に入らないと施工できないことがあります。民法第209条は、こうした工事のために隣地を使用できる場面と、そのときに守るべき手順を定めています。条文を引用し、どこまでが条文に書かれていることかを整理しています。

最終更新日:2026-10-12

本ページの見方

  • 引用している条文は、e-Gov法令検索で公開されている現行の条文をそのまま転記したものです。読みやすさを考慮して省略した箇所は「(中略)」と表記しています。
  • 条文に定められている事項と、個別の敷地・計画についての判断は異なります。当サイトは個別の案件について適法・違法の判定を行っていません。
  • 自治体や道路管理者ごとに異なる手続きの様式・手数料・処理期間は、本ページには記載していません(条文に定められている数値のみを扱っています)。

根拠となる条文

民法 第209条(隣地の使用)第1項
土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕 二 境界標の調査又は境界に関する測量 三 第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り
出典:e-Gov法令検索(民法)
民法 第209条第2項〜第4項
2 前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。3 第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。4 第一項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
出典:e-Gov法令検索(民法)

民法第209条の構成(項ごとの内容)

出典:民法 第209条(e-Gov法令検索)。「内容」欄は条文の文言を要約したものです。

項定めていること外構工事に置き換えると
1項 本文次の3つの目的のため必要な範囲内で、隣地を使用できる境界付近の塀・フェンス・門柱などの築造・撤去・修繕が一号の「障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕」に当たり得る
1項 ただし書住家には、居住者の承諾がなければ立ち入れない隣家の建物の中に入る必要がある場合は、承諾が前提になる
1項 二号境界標の調査又は境界に関する測量工事前に境界の位置を確かめる測量も目的に含まれる
1項 三号第233条第3項による枝の切取り越境した枝を一定の場合に自分で切るとき(越境の枝のページ参照)
2項日時・場所・方法は、隣地の所有者と隣地使用者にとって損害が最も少ないものを選ぶ足場の位置、作業時間帯、資材の置き場所の選び方
3項あらかじめ目的・日時・場所・方法を、所有者と隣地使用者に通知する(困難なときは開始後遅滞なく)着工前に、誰が・いつ・何を伝えるかを決めておく
4項所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、償金を請求できる植栽や舗装を傷めた場合などの扱い

条文が認めているのは「必要な範囲内」での使用

第209条第1項は「次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる」と定めています。外構工事で関係が深いのは一号の「境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕」です。ブロック塀やフェンスを境界付近に新設する、古い塀を撤去する、傷んだ塀を補修するといった工事がこれに当たり得ます。一方で、条文の文言は「必要な範囲内」に限っています。資材を長期間置いておく、作業と関係のない場所を通るといった使い方まで当然に認める書き方にはなっていません。

通知する相手は「所有者」と「隣地使用者」の両方

第3項は、隣地の所有者だけでなく「隣地を現に使用している者」(条文上の「隣地使用者」)にも通知することを求めています。隣家が賃貸住宅で、所有者と住んでいる人が別という場合には、両方に伝える必要があるということです。通知する内容も、目的・日時・場所・方法の4点が条文に挙がっています。

目的

何の工事のために使うのか(例:境界沿いのフェンスの建て替え)。

日時

いつからいつまで、何時から何時まで使うのか。

場所

隣地のどの部分を使うのか。

方法

人が立ち入るのか、足場を設置するのか、資材を置くのか。

建物の中に入るには、居住者の承諾が必要

第1項ただし書きは「住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない」と定めています。庭や通路といった土地部分の使用と、住んでいる建物への立入りとで、条文の扱いが分かれている点に注意が必要です。

本ページで判定できない事項

個別の工事で、どこまでが「必要な範囲内」に当たるのか、隣地の所有者が応じない場合にどう進めるのかは、条文に手順が書かれているわけではなく、事情によって判断が変わります。当サイトでは個別の事案についての判断は行いません。隣地との調整が難しい場合は、弁護士などの専門家や自治体の法律相談窓口にご相談ください。また、境界の位置そのものに争いがある場合は、工事の前に境界を確定させることが前提になります。

境界付近の工事を頼むときに確認すべき事項

  • 1施工にあたって隣の敷地に入る・足場を置く必要があるかを、見積もりの段階で業者に確認する
  • 2隣地への通知を施主が行うのか、業者が同行・代行するのかを決めておく
  • 3通知の内容(目的・日時・場所・方法)を書面やメモに残しておく
  • 4隣家が賃貸の場合、所有者と住んでいる人の両方に伝える
  • 5隣地の植栽・舗装・物置などを傷めた場合の対応を、業者の保険や保証の範囲と合わせて確認する
  • 6境界の位置があいまいな場合は、工事の前に境界標の有無を確かめる

関連する工事の解説

よくある質問

Qフェンス工事のために、隣の家の庭に入ることはできますか。▼
A民法第209条第1項は、境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕のため必要な範囲内で、隣地を使用することができると定めています。ただし同条第3項により、あらかじめ目的・日時・場所・方法を隣地の所有者と隣地使用者に通知しなければならず、住家に立ち入るには居住者の承諾が必要です。
Q隣の人に知らせずに作業を始めてもよいですか。▼
A第209条第3項は、あらかじめ通知することを原則としています。あらかじめ通知することが困難なときに限り、使用を開始した後、遅滞なく通知することで足りるとされています。
Q工事で隣の庭木を傷めてしまった場合はどうなりますか。▼
A第209条第4項は、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができると定めています。具体的な金額や負担の範囲は個別の事情によるため、当サイトでは判断していません。

出典

条文は2026-10-12時点でe-Gov法令検索に掲載されていた内容を確認して転記しています。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前には最新の条文と、所管する窓口の案内をご確認ください。

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