マンションの専用庭にウッドデッキやタイルを設ける場合|専用使用権と管理規約・区分所有法の関係
マンションの1階住戸に付いている専用庭は、住戸の一部のように使えますが、法律上は住戸(専有部分)とは別の扱いになっていることがあります。どこまでの工事ができるかは、各マンションの管理規約と使用細則で決まります。区分所有法の条文と、国土交通省のマンション標準管理規約の規定を引用し、工事の前に確認すべき点を整理しています。
最終更新日:2026-10-17
本ページの見方
- 引用している条文は、e-Gov法令検索で公開されている現行の条文をそのまま転記したものです。読みやすさを考慮して省略した箇所は「(中略)」と表記しています。
- 条文に定められている事項と、個別の敷地・計画についての判断は異なります。当サイトは個別の案件について適法・違法の判定を行っていません。
- 自治体や道路管理者ごとに異なる手続きの様式・手数料・処理期間は、本ページには記載していません(条文に定められている数値のみを扱っています)。
根拠となる条文
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。出典:e-Gov法令検索(建物の区分所有等に関する法律)
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。出典:e-Gov法令検索(建物の区分所有等に関する法律)
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。出典:e-Gov法令検索(建物の区分所有等に関する法律)
建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。出典:e-Gov法令検索(建物の区分所有等に関する法律)
マンション標準管理規約(単棟型)の専用庭に関する規定
出典:国土交通省「令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)」。標準管理規約は管理規約を定める際の参考として国が示しているもので、各マンションの管理規約が同じ内容とは限りません。
| 項目 | 標準管理規約の内容 | 条項 |
|---|---|---|
| 専用使用権の定義 | 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利 | 第2条第8号 |
| 専用庭の位置付け | 一階に面する庭を、バルコニー等の一つとして専用使用権の対象としている | 第14条第1項・別表第4 |
| 専用使用料 | 一階に面する庭の専用使用権者は、管理組合に専用使用料を納入する | 第14条第2項 |
| 管理の主体 | 敷地及び共用部分等の管理は管理組合が行う。バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものは専用使用権者が行う | 第21条第1項 |
| 保存行為の承認 | 通常の使用に伴うもの等を除き、理事長に申請して承認を受けなければ敷地及び共用部分等の保存行為を行うことができない | 第21条第3項 |
| 工事の制限の考え方 | 共同の利益に反する行為の例として「バルコニー・専用庭への増築工事」を挙げている | 別添2 |
専用庭は、標準管理規約では「専用使用権」の対象として扱われている
区分所有法第2条は、専有部分、共用部分、建物の敷地をそれぞれ定義しています。国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)は、第2条第8号で専用使用権を「敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利」とし、第14条第1項と別表第4で「一階に面する庭」をその対象に挙げています。この考え方では、専用庭は住戸の所有者が自由に使える自分の土地ではなく、敷地の一部を特定の区分所有者が排他的に使用する場所という扱いになります。
使い方と工事のルールは、各マンションの管理規約で決まる
区分所有法第30条第1項は、建物やその敷地の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項を、規約で定めることができるとしています。標準管理規約第21条第1項は、敷地及び共用部分等の管理を管理組合の責任と負担で行うとしたうえで、バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものは専用使用権者が行うとしています。同条第3項は、それ以外の保存行為について、理事長に申請して承認を受けた場合などを除き、区分所有者が行うことはできないとしています。専用庭でどの工事が「通常の使用」の範囲に入るかは、各マンションの規約と使用細則で確認する必要があります。
共同の利益に反する工事は、法律で禁止されている
区分所有法第6条第1項は、区分所有者は建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないと定めています。標準管理規約の別添2「区分所有者が行う工事に対する制限の考え方」は、この規定にふれたうえで、禁止行為を具体的に記載する例として「バルコニー・専用庭への増築工事(バルコニーとしての専用使用の範囲を逸脱するため)」を挙げています。ウッドデッキやテラス屋根、物置などを計画する場合は、増築に当たると扱われないか、管理組合に事前に確認しておく必要があります。
本ページで判定できない事項
個別のマンションで専用庭がどのように位置付けられているか、計画している工事が規約上認められるかは、管理規約・使用細則・管理組合の判断によるため、当サイトでは判定していません。工事を依頼する前に、管理会社や管理組合の理事会に、申請の要否と手続きをご確認ください。
マンションの専用庭で工事をする前に確認すべき事項
- 1管理規約と使用細則で、専用庭の位置付け(専用使用権の対象か)を確認する
- 2専用庭で認められている工事・禁止されている工事が規約や細則に書かれているかを確認する
- 3工事に理事長(理事会)への申請と承認が必要か、必要な書類と期間を管理会社に確認する
- 4ウッドデッキ・物置・テラス屋根など、据え付けるものが増築と扱われないかを確認する
- 5排水口・避難経路・配管点検口などをふさがない計画になっているかを確認する
- 6退去・売却の際に、設置したものを撤去する必要があるかを確認する
関連する工事の解説
よくある質問
Qマンションの専用庭にウッドデッキを置いてもよいですか。▼
Q専用庭は自分の土地ではないのですか。▼
Q専用庭の工事で禁止されているものはありますか。▼
出典
条文は2026-10-17時点でe-Gov法令検索に掲載されていた内容を確認して転記しています。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前には最新の条文と、所管する窓口の案内をご確認ください。