庭の土留め・擁壁に確認申請や許可は必要か|高さ2mを超える擁壁と盛土規制法の「崖」
道路や隣地との間に高低差がある敷地では、土留めや擁壁をつくる、盛土をして庭を平らにする、といった工事が計画に入ることがあります。擁壁は高さによって建築基準法の「工作物」として扱われ、盛土や切土は規模と場所によって宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の許可の対象になります。条文を引用し、どの数値が境目になっているかを整理しています。
最終更新日:2026-10-17
本ページの見方
- 引用している条文は、e-Gov法令検索で公開されている現行の条文をそのまま転記したものです。読みやすさを考慮して省略した箇所は「(中略)」と表記しています。
- 条文に定められている事項と、個別の敷地・計画についての判断は異なります。当サイトは個別の案件について適法・違法の判定を行っていません。
- 自治体や道路管理者ごとに異なる手続きの様式・手数料・処理期間は、本ページには記載していません(条文に定められている数値のみを扱っています)。
根拠となる条文
煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第八十八条第一項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(中略)とする。(中略)五 高さが二メートルを超える擁壁出典:e-Gov法令検索(建築基準法施行令)
煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(中略)については、第三条、第六条(中略)、第二十条(中略)の規定を(中略)準用する。出典:e-Gov法令検索(建築基準法)
第百三十八条第一項に規定する工作物のうち同項第五号に掲げる擁壁(中略)に関する法第八十八条第一項において読み替えて準用する法第二十条第一項の政令で定める技術的基準は、次に掲げる基準に適合する構造方法(中略)を用いることとする。一 鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること。(中略)三 擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること。出典:e-Gov法令検索(建築基準法施行令)
宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する前に、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。出典:e-Gov法令検索(宅地造成及び特定盛土等規制法)
法第二条第二号及び第三号の政令で定める土地の形質の変更は、次に掲げるものとする。一 盛土であつて、当該盛土をした土地の部分に高さが一メートルを超える崖を生ずることとなるもの 二 切土であつて、当該切土をした土地の部分に高さが二メートルを超える崖を生ずることとなるもの(中略)四 第一号又は前号に該当しない盛土であつて、高さが二メートルを超えるもの 五 前各号のいずれにも該当しない盛土又は切土であつて、当該盛土又は切土をする土地の面積が五百平方メートルを超えるもの出典:e-Gov法令検索(宅地造成及び特定盛土等規制法施行令)
擁壁・盛土・切土で境目になる数値
出典:建築基準法施行令 第138条・第142条、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第1条・第3条(e-Gov法令検索)。盛土規制法の数値は、宅地造成等工事規制区域内で許可の対象となる規模です。区域の指定状況は都道府県等にご確認ください。
| 対象 | 数値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 擁壁(建築基準法の工作物) | 高さ2メートルを超えるもの | 施行令第138条第1項第5号 |
| 盛土で生じる崖 | 高さ1メートルを超えるもの | 盛土規制法施行令第3条第1号 |
| 切土で生じる崖 | 高さ2メートルを超えるもの | 同第2号 |
| 盛土と切土を同時にして生じる崖 | 高さ2メートルを超えるもの | 同第3号 |
| 崖を生じない盛土 | 高さ2メートルを超えるもの | 同第4号 |
| 上記に当たらない盛土・切土 | 土地の面積が500平方メートルを超えるもの | 同第5号 |
| 「崖」の定義 | 地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地(硬岩盤を除く) | 盛土規制法施行令第1条第1項 |
高さ2メートルを超える擁壁は、建築基準法の「工作物」として扱われる
建築基準法施行令第138条第1項第5号は、確認申請などの規定が準用される工作物として「高さが二メートルを超える擁壁」を挙げています。建築基準法第88条第1項は、こうした政令で指定された工作物について、第6条(建築確認)や第20条(構造耐力)などの規定を準用すると定めています。擁壁は建物ではありませんが、高さが2メートルを超えると、建物と同じように確認の手続きと構造の基準が関わることになります。
擁壁の構造には、材料と水抜穴の基準がある
施行令第142条第1項は、高さ2メートルを超える擁壁について、鉄筋コンクリート造や石造などの「腐食しない材料を用いた構造とすること」、裏面の排水を良くするために「水抜穴を設け」、その周辺に砂利などを詰めることなどを求めています。さらに同項第5号は、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全性を確かめることも挙げています。擁壁の裏側に水がたまると土圧が増すため、水抜穴の有無と配置は図面で確認しておきたい点です。
第1号(材料)
鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とする。
第3号(排水)
水抜穴を設け、水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰める。
第5号(構造計算)
国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全性を確かめる。
宅地造成等工事規制区域では、盛土・切土の規模によって知事の許可が必要になる
盛土規制法第12条第1項は、宅地造成等工事規制区域内で行う宅地造成等に関する工事について、工事主が着手前に都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。区域は同法第10条により都道府県知事が指定し、公示します。許可の対象となる規模は施行令第3条に列挙されており、たとえば盛土で高さ1メートルを超える崖が生じるもの、切土で高さ2メートルを超える崖が生じるものなどが挙がっています。ここでいう「崖」は、施行令第1条第1項で地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地とされています。なお、建築基準法第88条第4項は、盛土規制法第12条第1項などの許可を受けなければならない場合の擁壁について、建築確認に関する規定を適用しないとしています。
本ページで判定できない事項
計画している土留めが条文の「擁壁」に当たるか、敷地が宅地造成等工事規制区域に含まれるか、工事が許可を要しない工事として政令で定めるものに当たるかは、敷地や計画によって判断が変わるため、当サイトでは判定していません。コンクリートブロックを土留めとして使う計画がある場合も、構造の考え方を施工業者に確認してください。区域の指定状況や手続きは、都道府県(または政令市など)の担当窓口でご確認いただけます。
土留め・擁壁・盛土を含む外構工事で確認すべき事項
- 1土留め・擁壁の高さ(地盤面から上端まで)を図面で確認する
- 2高さ2メートルを超える擁壁の場合、確認申請を誰がいつ行うのかを確認する
- 3擁壁の材料と、水抜穴・裏込めの砂利の仕様を確認する
- 4盛土・切土をする場合、生じる崖の高さと工事する土地の面積を確認する
- 5敷地が宅地造成等工事規制区域に含まれるかを、都道府県等の窓口や公表資料で確認する
- 6境界の近くで掘削する場合、隣地側の土が崩れないための養生方法を確認する
関連する工事の解説
よくある質問
Q庭の土留めに確認申請は必要ですか。▼
Q盛土をして庭を高くする場合、許可は必要ですか。▼
Q擁壁の構造にはどのような基準がありますか。▼
出典
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索)
- 建築基準法(e-Gov法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法(e-Gov法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(e-Gov法令検索)
- 国土交通省 「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」)について
条文は2026-10-17時点でe-Gov法令検索に掲載されていた内容を確認して転記しています。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前には最新の条文と、所管する窓口の案内をご確認ください。